私は、自宅でデータ入力の仕事をしています。今年は、130万円の収入がありました。ですが、経費となるものが10万円しかありません。給与収入と比べて損をしている気がするのですが 、何か方法はないのでしょうか?
家内労働者等の事業所得計算の特例(租税特別措置法第27条)というものがあります。
この特例を使うことにより、10万円の経費に変えて
所得の計算上、65万円を控除することができます。
対象者は以下の方になります。
①家内労働者等
(家内労働法に規定する家内労働者や、外交員、集金人、電力量計の検針人のほか、
特定の人に対して人的役務の提供を行うことを業務とする人)
②事業所得及び雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額が65万円
に満たない人(ほかに給与所得を有する場合には、給与所得控除相当額を差し引いた残額)
この①の対象者は、国税庁のHPのより参照したものですが、これを区分すると
以下のようになります。
(1)家内労働法に規定する家内労働者
(2)外交員、集金人、電力量計の検針人
(3)特定の人に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人
これの具体例を挙げますと以下のようになります。
(1)は内職を請け負う方(データ入力は、ワープロ打ちでフロッピーを媒介するもの)
(2)保険の外交員、NHKの集金人、電気メーターの検針人 (国税庁HP No2804 外交員等に支払う報酬・料金)
(3)シルバー人材センターの報酬、損害保険代理業、クリーニング取次業 、ダンス教室講師など
誤解を招きやすい部分が、(3)に書いたダンス教室講師と
ダンス教室を経営している方です。
この教室の講師というのは、カルチャースクールなどで契約してダンスを
教えている方になります。特定の人(カルチャースクール)に対して
継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人となるわけです。
それに対し、ダンス教室を経営している方は
不特定多数の方(生徒)に対し、役務の提供を行うものとなります。
特定の人に対して行っておりませんので、こちらには適用はありません。
同じダンスを教えていても、事業形態の違いで適用の有無が分かれる点が
誤解を招きやすい部分になるかと思います。
お尋ねの方の場合は、(1)又は(3)に該当することになります。
以下は計算例となります。(雑所得に該当する場合)
(1)実必要経費額100,000円<650,000円 650,000円を満たさない為、適用あり
(2)1,300,000円-650,000円=650,000円
この特例は、対象者の②にも書きましたが、給与収入がある場合、又は他の雑所得が
ある場合は計算が異なります。
給与収入が50万円あった場合
(1)給与収入500,000円-給与所得控除500,000円=0
(2)650,000円-給与所得控除500,000円=150,000円
(3)1,300,000円-150,000円=1,150,000円
給与収入が60万あった場合
(1)給与収入600,000円-給与所得控除600,000円=0
(2)650,000円-給与所得控除600,000円=50,000円
(3)実必要経費額100,000円>特例必要経費額50,000円 特例適用なし
(4)1,300,000円-100,000円=1,200,000円
給与収入50万円、生命保険契約に基づく年金収入50万円(必要経費額30万円)があった場合
(1)給与収入500,000円-給与所得控除500,000円=0
(2)650,000円-給与所得控除500,000円=150,000円
(3)実必要経費額100,000円+年金必要経費額300,000円=400,000円>150,000円 特例適用なし
(4)1,300,000円+500,000円-400,000円=1,400,000円