中小企業向け優遇税制が資本金の額等で適用できないケース
Q. 弊社は今期の決算において、少額減価償却資産の特例などの中小企業向け優遇税制を利用したい
と考えておりますが、注意点はありますか?
A. 中小企業向け優遇税制は、貴社の資本金や出資金の額、また貴社への出資者が法人の場合には
その出資法人の規模等により適用できないケースがありますので、注意が必要です。
例えば、ご質問の少額減価償却資産の特例制度は、
貴社の資本金が1億円以下であり、
資本金または出資金の額が1億円を超える法人(以下、大規模法人)に発行済株式総数の1/2以上を
所有されていない場合
に適用できます。
また、法人税の軽減税率は、
貴社の資本金が1億円以下であり、
大法人(資本金の額等が5億円以上である法人)による完全支配関係がない場合
に適用できます。
中小企業投資促進税制は、
大規模法人に発行済株式総数の1/2以上を所有されていない場合で、
貴社の資本金が 3000万円以下…特別償却または特別控除
3000万円超1億円以下…特別償却
を適用できます。
なお、平成31年4月1日以後開始事業年度からは、大規模法人の範囲が拡大され、
「大法人の100%子法人」と
「100%グループ内の複数の大法人に発行済株式又は出資の全部を保有されている法人」
も大規模法人の定義に加わります。
昨今、外国企業が出資をして日本法人を設立するケースが増えています。日本法人が決算において
中小企業の優遇税制を検討する場合には、制度の適用要件の確認はもちろんのこと、出資した外国
企業やそのグループ企業の資本関係の確認も忘れずに行いましょう。