アパート・マンションの消費税還付
質問:アパート建築分の消費税が取り戻せなくなるって、本当なの?
回答:本当です。
正確にはアパートを建築した年分には還付を受け、2年後には納付することになります。
平成22年度税制改正により、免税点制度が見直されました。
従来は課税事業者選択届出書の提出や資本金1,000万円以上の会社を設立したことにより、消費税の納税義務者となった場合には2年間の納税義務がありました。
しかし、今回の改正により、その2年間の納税義務の期間内において100万円(税抜)以上の調整対象固定資産を取得した場合には、その取得した年分 を含む3年間は消費税の納税義務者とされました。また、その3年間の簡易課税制度の適用もできなくなりました。
<例題>
① 1年目
○ 調整対象固定資産(賃貸アパート)の取得価額6,300万円(うち消費
税額300万円)
○ 課税売上げ(駐車場収入)1,260,000円(うち消費税額60,000円)
○ 非課税売上げ(家賃収入)0円
〔消費税計算〕
・課税売上割合= 120万円(税抜課税売上)
120万円(税抜課税売上)+0円(非課税売上)
=100%
・還付消費税額 =60,000円(課税売上に係る消費税額)-3,000,000
円(調整対象固定資産の取得に係る消費税額)
=2,940,000円
② 2年目
○ 課税売上げ(駐車場収入)1,260,000円(うち消費税額60,000円)
○ 非課税売上げ(家賃収入)6,000,000円
(納付税額 60,000円)
③ 3年目
○ 課税売上げ(駐車場収入)1,260,000円(うち消費税額60,000円)
○ 非課税売上げ(家賃収入)6,000,000円
〔消費税計算〕
・通算課税売上割合=
120万円+120万円+120万円
120万円+(120万円+600万円)+(120万円+600万円)
=23.07%
・課税売上割合の著しい変動の判定
100%(1年目の課税売上割合)- 23.07%(通算課税売上割合)
100%(1年目の課税売上割合)
=76.93%≧50%
100%(1年目の課税売上割合)- 23.07%(通算課税売上割合)
=76.93%≧5%
・3年目の仕入税額控除額から減算する金額
〔3,000,000円(調整対象基準税額)×100%〕-〔3,000,000円
×23.07%〕=2,307,900円
(納付税額 60,000円+2,307,900円=2,367,900円)