住民税の調整控除
みなさんは平成19年に所得税から住民税へ税源移譲があったことはご存知でしょうか?
平成18年まで所得税の最低税率は10%、住民税の最低税率は5%だったのですが、平成19年からは所得税の最低税率が5%、住民税は税率が一律10%となったのです。
所得税と住民税の最低税率の合計はどちらも15%なので、ただ内訳が変わっただけで同じと思っている方も中にはいらっしゃるかもしれません。
しかし、所得税と住民税では控除額が違うのです。
具体的なものを挙げると
所得税 住民税
配偶者控除 380,000円 330,000円
扶養控除 380,000円 330,000円
基礎控除 380,000円 330,000円
などなど、所得控除の項目において住民税の方が控除される金額が少ないのです。
このままでは税源移譲をしたことによって所得税と住民税の合計額が税源移譲前よりも増加し、実質的な増税になってしまうため、住民税の計算において新たに調整控除という税額控除が創設されました。
例 給与収入500万円 社会保険料の合計額60万円
配偶者有り(収入なし)、子1人(16歳以上19歳未満)
所得税 住民税
税源移譲前では 給与所得 346万円 346万円
社会保険料控除 60万円 60万円
配偶者控除 38万円 33万円
扶養控除 38万円 33万円
基礎控除 38万円 33万円
合計課税所得金額 172万円 187万円
税額 (10%) 172,000円 (5%) 93,500円
合計 172,000円+93,500円=265,500円
税源移譲後では 合計課税所得金額までは税源移譲前と同じ
税額 (5%) 86,000円 (10%) 187,000円
合計 86,000円+187,000円=273,000円
調整控除額は
配偶者控除の差+扶養控除の差+基礎控除の差=15万円
15万円<187万円 ∴15万円
15万円×5%=7,500円
273,000円-7,500円=265,500円
どうでしょう、税源移譲前と後で税額が同じになりましたね。
従って、配偶者控除や扶養控除、基礎控除の差による税金の増加はないのです。
これが、住民税の調整控除です。
<調整控除の計算の仕方>
1. 合計課税所得金額が200万円以下の人
次の(1)と(2)のいずれか小さい金額の5%
(1)人的控除の差の合計額
(2)合計課税所得金額
2. 合計課税所得金額が200万円を超える人
(1)人的控除の差の合計金額-(合計課税所得金額-200万円)
を計算する。
(2)(1)×5%=調整控除とする。ただし、(2)が2,500円未満のと
きは、(2)は2,500円とする。
※人的控除は配偶者控除、扶養控除、基礎控除の他にもあり
ますのでお気を付け下さい。