従業員が海外赴任する場合の年末調整と源泉徴収

Q. この度、当社従業員1名が海外にある当社の関連会社に3年間の予定で赴任することになりました。海外赴任する場合の年末調整の手続き、出国後の源泉徴収に関する留意点を教えてください。

 

A. 1年以上の予定で海外に赴任する場合、所得税法では出国日の翌日から「非居住者」になりますので、出国日までに支給した国内給与、賞与につき年末調整をする必要があります。手続きは通常の年末調整と同じですが、各種控除については下記のとおりとなります。

 

【扶養控除・配偶者控除】

出国日時点で控除対象になるか判断。控除額は1年分(一般の控除対象扶養親族38万円など)。

【生命保険料控除・社会保険料控除】

その年の1/1から出国日までに支払われた金額が控除可能。生命保険料控除証明書は保険会社に依頼。出国日までの支払分で計算してもらう。

 

【住宅ローン控除】

12/31まで引き続き居住していることが要件になっており、控除不可。

 

非居住者になった後は、日本での国内源泉所得に限り課税されることになりますが、出国後最初に支給される給与、賞与については下記のような場合に注意が必要になります。

 

【例】

給与計算期間:6/21~7/20

出国日:7/25

当該給与支給日:7/31

 

7/31に支給する給与は、非居住者に対する国内源泉所得(6/21~7/20)分になり、20.42%の源泉徴収が必要になります。また、この給与は源泉分離課税に該当しますので、上記の源泉徴収で課税関係が終了し、年末調整の対象には含めません。

8/31に支給する給与は、給与計算期間が1か月以下である場合には国内源泉所得が含まれていても源泉徴収をしなくてよいことになっておりますので、日本において源泉徴収は不要になります(国内源泉所得7/21~7/25が含まれる)。

 

【例】

賞与計算期間:4/1~9/30

出国日:7/25

当該賞与支給日:12/20

 

4/1~7/25(出国日)は国内源泉所得になりますので、12/20に支給する賞与額のうち国内源泉所得の日数分に対応する金額は20.42%の源泉徴収が必要です。

 

なお、20.42%で源泉徴収した非居住者の給与や賞与については、「非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書」の納付書にて支給の翌月10日までに納付をしなければなりません。

また、非居住者に支払われる国内源泉所得の合計が年間50万円を超える場合には、翌年1/31までに「非居住者等に支払われる給与・報酬・年金及び賞金の支払調書」を税務署に提出しなければなりません