外国税額控除
外国税額控除
Q 海外の会社(100%子会社を除く)から配当金を受け取りました。
何か受けられる制度はありますか。
A はい、あります。
外国税額控除を受けることができます。
日本では全世界所得課税制度を採用しているため、海外の会社から配当を受けた場合には法人税が課税されますが、
その配当金には既に海外(一部の地域を除く)で源泉徴収により外国源泉税が課税されています。外国税額控除とは、
その配当金について二重課税を排除する仕組みのことをいいます。
外国税額控除額は次の算式により計算されます。
(1) 外国源泉税
(2) 控除限度額
下記の算式により計算します。
各事業年度の所得に対する法人税額× 各事業年度の国外所得金額
各事業年度の全世界所得金額
(3)(1)と(2)のいずれか少ない金額
例1 海外の会社から1,000,000円の配当金を受け、外国源泉税(15%)150,000円が源泉徴収されている場合
<計算条件>
1.資本金1億円以下
2.法人税額 1,200,000円
3.全世界所得金額 8,000,000円
4.共通利子 200,000円
※共通利子は国外所得金額を算定するうえで、必ず算定しなければなりません。
次の算式により計算します。
支払利息×国外財産の金額(当期末+前期末)
総資産の金額(当期末+前期末)
(1)外国源泉税 150,000円(法人税の計算上所得加算されます)
(2)控除限度額
法人税額 1,200,000円×国外所得金額(1,000,000円-200,000円)
全世界所得金額 8,000,000円
=120,000円
(3)150,000円>120,000円 ∴120,000円
上記の例1では外国源泉税150,000円が控除限度額120,000円を超えているため、次に法人住民税から控除することができる
外国税額控除額を計算します。法人住民税の税率を17.3%とすると
法人税の控除限度額120,000円×17.3%=20,760円<30,000円 ∴20,760円
よって、法人税から120,000円、法人住民税から20,760円の合計140,760円が控除されます。
また、控除しきれなかった金額 150,000円-(120,000円+20,760円)=9,240円は翌年以後3年間繰り越すことができます。
例2 上記の例1の法人税額が200,000円だったら。
(1)外国源泉税 150,000円(法人税の計算上所得加算されます)
(2)控除限度額
法人税額 200,000円×国外所得金額(1,000,000円-200,000円)
全世界所得金額 8,000,000円
=20,000円
(3)150,000円>20,000円 ∴20,000円
次に法人住民税から控除することができる外国税額控除額を計算すると
20,000円×17.3%=3,460円<130,000円 ∴ 3,460円
よって、法人税から20,000円、法人住民税から3,460円の合計23,460円が控除され、控除しきれなかった150,000円-23,460円
=126,540円は翌年以後3年間繰り越すことができます。
この場合では、外国税額控除の適用を受けることにより、所得加算された150,000円に対する法人税150,000円×15%=22,500円、
法人住民税22,500×17.3%=3,892円の合計26,392円の増加に対し、外国税額控除額が合計で23,460円しか受けられません。
外国税額控除の適用を受けた方が、必ずしも得というわけではなく、翌年以後3年間繰り越す金額がなくなりますが、逆に外国税
額控除の適用を受けないことで、当期の法人税と法人住民税の税額を下げることもできるのです。