特定役員退職手当等
役員として勤務した期間が5年以下の人の退職所得控除の計算には注意が必要です。
勤続年数が5年以下の役員に対する退職手当等について退職所得控除後の金額に2分の1を乗じなくなったことは、以前にもお伝えしたと思います。
2分の1を乗じなくなっただけでなく、注意しなければならないことがあります。
役員の勤続年数が5年以下と聞いて、最初に思い浮かぶのは天下りなどので子会社の役員を渡り歩くことだと思います。
しかし、天下りでなくとも、勤続年数が5年以下の役員に該当する場合があるのです。
それは、ひとつの会社で長年従業員として働き、役員に就任後5年以内に退職する場合
です。
<例>
A会社の役員である甲氏は平成25年5月31日に退職した。
退職に際し、従業員退職金2,000万円と役員退職金1,000万円の合計3,000万円を受け取
った。尚、甲氏の勤続年数の状況は以下の通りである。
勤続年数26年 | |
従業員としての勤続年数22年 | 役員としての勤続年数4年 |
従業員退職金2,000万円 | 役員退職金1,000万円 |
(1)平成24年までは
①退職所得控除額
800万円+70万円×(26年-20年)=1,220万円
②退職所得
(3,000万円-1,220万円)×1/2=890万円
(2)平成25年からは
①役員としての勤続年数が5年以下の為1,000万円は特定役員退職手当等に該当
特定役員退職所得控除額 40万円×4年=160万円
②一般退職所得控除額
800万円+70万円×(26年-20年)-160万円=1,060万円
③退職所得
(1,000万円-160万円)+(2,000万円-1,060万円)×1/2=1,310万円
※今回の状況では退職手当等が同じでも退職所得が420万円増加します。
(注)従業員退職金<(退職所得控除額-特定役員退職所得控除額)の場合の
退職所得の金額は次の算式により計算するのでご注意下さい。
(役員退職金+従業員退職金)-退職所得控除額