消費税、賃貸借契約の経過措置と前家賃について
消費税が来年4月1日に上がることになるそうですが、当社が今年の10月に契約し、11月より使用する予定の事務所の家賃は、何月の支払いから8%で消費税の仕入税額控除を行うのでしょうか?事務所の家賃は、いつも月末迄に翌月分を支払うことが契約書に定められています。
結論から申し上げると、仕入税額控除を8%で行うのは4月の支払い、5月分の家賃からとなります。ただし、契約により、貸主から8%の消費税で請求された場合は、8%控除することになります。
まず消費税の経過措置の対象となるかどうかを判断します。
9月30日(指定日10/1の前日)までに契約が完了し、3月31日までに貸付を行っているものであれば消費税の経過措置の対象となり、消費税率は旧税率の5%のままで仕入れ税額控除を行うことになります。今回の場合、契約月が10月となり、消費税の経過措置の対象とはなりません。
また、消費税の経過措置の対象となるには、以下の要件を満たす必要があります。
①貸付期間及び期間中の対価の額が定められていること。
②事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求める旨の
定めがないこと。
多くの不動産賃貸の契約の場合、事情の変化による賃料改定の定めがあるため、②の要件に該当せず、指定日、貸付日の要件を満たした場合であっても、
経過措置の対象とならない場合多くなるものと思われます。
今回のケースに話を戻します。
今回のケースは、消費税の経過措置の対象とはなりません。そのため、4月の家賃から8%の税率で仕入税額控除を行うこととなります。ただし、月末に翌月分を支払うことが契約書に定められております。
資産の賃貸借契約に基づいて支払を受ける使用料等の額(前受けに係る額を除く。)を対価とする資産の譲渡等の時期は、当該契約又は慣習によりその支払を受けるべき日とする。(消費税法 基本通達9-1-20)
これにより、資産の譲渡等は支払日(3月31日)に行われたこととなり、仕入税額控除は5%で行うこととなります。