配偶者の居住権制度

配偶者の居住権制度(平成30年7月6日に成立し、令和2年4月1日から施行)
(例題)
相続人:配偶者(相続時70歳)と子
相続財産:土地45,000千円、建物(耐用年数22年、築10年経過)5,000千円、現金預金50,000千円
財産の1/2の土地建物は配偶者に、現金預金はすべて子供に相続すると老後の生活が心配になる。
→そこで、居住権を配偶者に20,709千円、所有権を子に25,291千円と相続することになれば、現金預金を25,291千円相続できる。(居住権の登記必要)
配偶者が、存続期間前に亡くなった場合は、居住権はその時に消滅する。
居住権は、被相続人が配偶者以外の者と共有している場合は設定できない。
固定資産税は、所有者が支払うが、配偶者に対して求償できる。
また、居住権の譲渡はできない。
計算例
① 配偶者居住権付建物の価額(所有者の価額)
 =建物の固定資産税評価額×{(耐用年数(住宅用)×1.5―築経過年数)-存続年数}÷(耐用年数(住宅用)―築後経過年数)×存続年数に乗じた民法の法定利率3%による複利現価率
相続時70歳の女性は、完全生命表で女性は、19.85歳なので20年、20年の3%複利現価率0.554 
    子供 :{(22×1.5-10)-20}÷(33-10)×0.554=361,304
② 配偶者の居住権の価額(配偶者の価額)=建物の固定資産評価額―配偶者居住権付建物の価額
     配偶者 :5,000,000-361,304=4,638,696
③ 配偶者居住権付敷地の価額(子供の価額)
    子供 : 45,000,000円×0.554=24,930,000円
④ 配偶者居住権に基づく敷地利用権の価額(配偶者)
配偶者 : 45,000,000円-24,930,000円=20,070,000円

子供の所有権合計  25,291,304円
配偶者の居住権合計 24,708,696円