残価設定型リースの税務処理
残価設定型リースというものがあるようなのですが、
これはどういうものでしょうか?
残価設定型リースは、ほとんどの場合で賃貸借処理となります。
それは、その契約の性質上、税務上のリース取引の要件のフルペイアウトの要件を満たさないことがほとんどであるためです。
残価設定型リースとはリース期間満了時の予想査定価格を設定し、リース料の総額から予定査定価格を差し引いて、月々のリース料を
抑えるリース契約です。
残価設定型のリースには、二種類の方式があり、リース契約時にリース期間満了時の予想査定価格を設定し、リース期間満了時の実際の査定価格との差額を精算する契約(オープンエンド方式)、予想査定価格を設定するが明示せず、リース期間満了時の実際の査定価格との差額を精算しない契約の二種類があります。
下図は、税務上のリース取引の分類になります。
ファイナンスリース | 所有権移転リース | ||||||
(税務上のリース取引) | |||||||
広義のリース取引 | 所有権移転外リース | ||||||
オペレーティングリース |
税務上のリース取引は、
①その賃貸借に係る契約が、賃貸借期間の中途においてその解除をすることができないものであること又はこれに準ずるものであること(中途解約不可)
②その賃貸借にかかる賃借人がその賃貸借にかかる資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、その資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであること(フルペイアウト)の二つの要件を満たすものとなります。(法人税法64の2③)
この上記のフルペイアウトの要件に含まれている「資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこと」は、リース料の総額が、リース資産を取得するために通常必要な価額のおおむね90%を超える場合とされています。(法人税法 施行令131の2②)
残価設定型リースは、残価を設定するため、リース料の総額が低くなることになり、この通常必要な価額のおおむね90%以下になることがほとんどでオペレーティングリースとなり賃貸借処理となります。
例
通常購入した場合の資産の価格 150万円
リース料総額 125万円
残価設定額 25万円
150万円×90/100=135万円>125万円 ∴フルペイアウトに該当せず、オペレーティングリース