自己株式の消却、処分について
Q 自己株式の消却と処分ついて教えて下さい。
A 消却と処分は内容は下記の通りです。
<自己株式の消却>
1.会計上の取扱い
自己株式を消却した場合には、消却手続きが完了したときに、消却対象となった自
己株式の帳簿価額をその他資本剰余金から減額する。
その他の資本剰余金の額がマイナスになるときはその他利益剰余金(繰越利益剰余
金)から減額する。
2.税務上の取扱い
法人税法では、自己株式を取得した時点で自己株式の取得価額を資本金等の額及び
利益積立金額から控除する処理を行うため、自己株式の帳簿価額は取得した時点でゼ
ロとなる。
そこで、自己株式を消却する場合には、帳簿価額のない自己株式が消滅するだけな
ので、税務上は処理の必要ありませんが、別表5(1)の調整項目の名前を変更する
ことになります。
<自己株式の処分>
1.会計上の取扱い
自己株式を募集株式の発行等の手続きで処分する場合、自己株式の処分は株主
との間の資本取引と考えるため、自己株式の処分に伴う処分差額は損益計算書に
は計上せず、純資産の部の株主資本の項目を直接増減する。
自己株式処分差益・・・その他資本剰余金
自己株式処分差損・・・その他資本剰余金から減額する
その他の資本剰余金の額がマイナスになるときは自己株
式の消却の場合と同様、その他利益剰余金(繰越利益剰
余金)から減額する。
2.税務上の取扱い
新株の発行と同様に、譲渡対価のうち資本金の額として計上した金額を超える金額
については資本積立金額を増額する。
<両者の違い>
消却、処分ともに会社が保有する自己株式を減らす方法ですが、消却については会社の
発行済株式数を減らし、処分については会社の発行済株式数を増減させません。