同じ年に2箇所から退職金をもらう場合

同じ年に2箇所から退職金をもらう場合

 

Q 今回、B社の取締役を辞任しました。

B社より役員退職金として2千万円が支給される予定です。

B社を退職する6ヶ月前にA社の代表取締役を辞任し、A社から役員退職金として

5千万円が支給されています。 B社から退職金をもらうときに何か注意することはありますか。

 

A 退職所得控除額や税金の計算に注意が必要です。

 

<例>

A社の勤続年数  昭和50年4月1日〜平成29年3月31日(42年)

B社の勤続年数  平成10年6月1日〜平成29年9月30日(19年4ヶ月)

 

1.A社から支給される退職金

退職所得控除額 勤続年数が42年のため

800万円+70万×(42年-20年)=2,340万円

 

課税退職所得金額

(5,000万円-2,340万円)×1/2=1,330万円

 

税額

(所得税)      (1,330万円×33%-1,536,000円)×1.021=2,912,913円

(住民税)        1,330万円×10%=1,330,000円

 

支給額 50,000,000円-(2,912,913円+1,330,000円)=45,757,087円

 

2.B社から支給される退職金

その年中に既にA社から退職金の支給を受けているため、A社とB社の退職金を

合算して計算します

また、A社とB社の勤続期間が重複しているため、重複している期間を除いて、

勤続年数を計算します。

 

退職所得控除額 重複している期間を除くと、勤続年数は

昭和和50年4月1日〜平成29年9月30日となり、42年6ヶ月

∴1年未満切り上げ→43年

よって、 800万円+70万円×(43年-20年)=2,410万円

 

課税退職所得金額

(5,000万円+2,000万円)-2,410万円=4,590万円

4,590万円×1/2=2,295万円

 

税金

(所得税)      (2,295万円×40%-2,796,000円)×1.021=6,518,064円

6,518,064円-2,912,913円=3,605,151円

 

(住民税)       2,295万円×10%=2,295,000円

2,295,000円-1,330,000円=965,000円

 

支給額  20,000,000円-(3,605,151円+965,000円)=15,429,849円

 

3.支給される退職金の合計額

45,757,087円+15,429,849円=61,186,936円

 

4.徴収される税金の合計額

(A 社) 2,912,913円+1,330,000円=4,242,913円

(B 社) 3,605,151円+  965,000円=4,570,151円

(合計) 4,242,913円+4,570,151円=8,813,064円

※A社とB社は徴収した税金を翌月10日までに納付

 

<所得税の税率>

 

課税退職所得金額 所得税率 控除額  税額
195万円以下 5% 0円 (課税退職所得金額×  5%-0円)×1.021
330万円以下 10% 97,500円 (課税退職所得金額×10%-97,500円)×1.021
695万円以下 20% 427,500円 (課税退職所得金額×20%-427,500円)×1.021
900万円以下 23% 636,000円 (課税退職所得金額×23%-636,000円)×1.021
1,800万円以下 33% 1,536,000円 (課税退職所得金額×33%-1,536,000円)×1.021
4,000万円以下 40% 2,796,000円 (課税退職所得金額×40%-2,796,000円)×1.021
4,000万円超 45% 4,796,000円 (課税退職所得金額×45%-4,796,000円)×1.021

 

<住民税の税率>・・・10%(市民税6%、県民税4%)