非上場株式の原則的評価における注意点

Q. 非上場(取引相場のない)株式の評価方法に、「純資産価額方式」と「類似業種比準方式」があります。これらの方式で評価をする際に気を付けなければいけない点を教えてください。

A.

<純資産価額方式>

この方式は、評価対象会社の純資産価額をもとに一株当たりの株価を評価する方法ですので、いつの時点の純資産価額で評価をするのか、という点に注意が必要です。

評価時点:課税時期(財産評価個別通達(以下、個別通達)5-2)

たとえば3月決算の非上場法人の代表(当該会社の株式所有)が10月3日に亡くなり相続が発生した場合、純資産価額方式による評価時点は「10月3日時点」になります。ですので、この時点で会社として仮決算を行う必要があります。

ただし、下記2条件を満たす場合には簡便的に直前期末の純資産価額により評価することも認められています(個別通達5-2-(4))。

① 課税時期において仮決算を行っていないため、課税時期における資産及び負債の金額が明確でないこと。

② 直前期末から課税時点までの間に、資産及び負債に著しく増減がなく、評価額の計算に影響が少ないと認められること。

②の「資産及び負債に著しく増減」というのは、たとえば借入をして土地の購入をした、高額の固定資産の売却した、などが考えられますので、通常の取引の範囲内(営業取引)であれば問題ないでしょう。

なお、課税時期が直前期末よりも直後期末に近く、課税時期以降直後期末までに資産及び負債に著しく増減がない場合には、直後期末での評価も認められるものと考えられます。

また、直前期末の純資産価額によった場合の相続税評価額は、直前期末の資産と負債を対象に評価することになりますので、たとえば直前期末に保有していた上場株式があった場合で課税時期前に売却した場合でも、その課税時期には売却はなかったものとして評価が必要ですので、その点にも注意が必要です(個別通達5-2-(4)イ)。

<類似業種比準方式>

この方式は、評価対象会社と類似する業種の上場会社の市場価格(国税庁が公表)を参考にして算定する方法ですので、評価対象会社がどの業種に類似しているか、類似する業種の選定に注意が必要です。

類似する業種の選定にあたり、参考にするのは「日本標準産業分類」になります。これは、国税庁のホームページ上でも公開されており、これにより類似の業種を選定していることも多いようです。

ただし、国税庁ホームページに公開されている日本標準産業分類と類似業種比準価額計算上の業種目対比表は、大中小分類までで細分類の記載がありません。焼肉店を例にとると、大分類:M宿泊業、飲食サービス業、中分類:76飲食店までは問題なく判定できますが、小分類はいかがでしょうか?焼肉店の記載がありませんので、業種目108その他の飲食店として評価してしまいませんか?焼肉店は762専門料理店ですので、業種目は107になります。

このように、業種目を誤ってしまいますと評価を間違えることにもつながってしまいますので、細分類まできちんと確認する必要があります。

なお、類似業種比準方式は純資産価額方式とは違い、直後期末の数値による評価は出来ません。