現在、会社経営をしているのですが、自分の後継者である子供に 株を譲る場合に何か良い方法はないでしょうか?

非上場株式の納税猶予の制度というものがあります。
経営者、後継者、会社、その後の事業を継続する上での
厳しい要件がありますが、それを満たせすことができれば、
後継者の所有する株式を含めた発行済株式の2/3までの株式
について納税を猶予することができます。
仮に贈与税の納税猶予を受ける場合の例としてはこのようになります。
A株式会社 総発行済株式数 200株
先代経営者A        150株所有
後継者B           20株所有
株式評価額       200,000円
このような場合に贈与税の納税猶予を受けると以下のようにになります。
納税猶予の対象となる株数 200株×2/3=133.333株(端数切上げ) →134株
134株-20株(すでに後継者が所有している114株
納税猶予の対象となる税額 20万円×114株=22,800,000円
22,800,000円×45%-2,650,000円=7,610,000円
この7,610,00円分に関して納税を猶予されることになります。
その後、この猶予を受けている株式は、贈与税に関しての納税猶予を受けているだけですので、
相続税の対象となり、相続財産に加算されます。ただし、この場合は、相続税の納税猶予という
制度をとることができます。贈与税と同じく後継者の所有する株式を含めた発行済株式の2/3が
対象となりますが、相続税の納税猶予は、評価額の全額ではなく、
80%の納税猶予を受けるものになります。
上記の例に以下の条件を加えます。
先代経営者A(父)の配偶者なし
子供二人 後継者B、次男C
相続財産 自社株式 150株 (評価総額3,000万円)
その他の財産   評価総額7,000万円
相続する財産の内訳
後継者B 自社株式150株(3,000万円)とその他の財産2,000万円
次男 C その他の財産  5,000万円 
納税猶予の対象となる株数は、贈与税の納税猶予を受けたものが対象となります。
納税猶予の対象となる株数及び評価額 20万円×114株=22,800,000円
①各人の相続税の計算
1億円-基礎控除(3,000万円+600万円×2)=5,800万円
5,800万円×法定相続分1/2=2,900万円
2,900万円×15%-50万円=385万円
相続税の総額の計算 385万円×2=770万円
後継者B 770万円×実際の相続割合(5000万円/1億円)=385万円
次男C  770万円×実際の相続割合(5000万円/1億円)=385万円
次男Cは非上場株式を相続しないため、この時点で税額は確定します。
以下は猶予税額の計算です。
②猶予税額の計算1(後継者Bが対象株式のみで相続した場合の計算)
5,000万円+2,280万円ー基礎控除(3,000万円+600万円×2)=3,080万円
3,080万円×法定相続分1/2=1,540万円
1,540万円×15%-50万円=181万円
181万円×2=362万円
362万円×2,280万円/7,280万円=1,133,736.2→1,133,737
③猶予税額の計算(後継者Bが対象株式の20%のみで相続した場合の計算)
5,000万円+2,280万円×20%ー基礎控除(3,000万円+600万円×2)=1,256万円
1,256万円×法定相続分1/2=628万円
628万円×10%=628,000円
62.8万円×2=125.6万円
125.6万円×456万円/5,456万円=104,973.6→104,974円

④猶予税額
1,133,737円ー104,974円=1,028,763円→1,028,700円(百円未満切捨)
⑤後継者Bの相続税額
3,850,000円-1,028,700円=2,821,300円
④がこの株式について猶予される税額、⑤が後継者Bの相続税額となります。
計算は以上のようになります。ですが、この制度の要件には、難しい部分も多く
一つ一つ要件を精査する必要がありますので、ご注意ください。