共有地の分割と交換の特例

Q.相続により、隣接する土地Aと土地Bを兄弟で共有取得しました。

今後のことも考え、土地A・Bをそれぞれ単独所有にしたいと考えています。この場合の税金はどのようになりますか。

 

A.共有の土地を単独所有にする方法として、土地の分割と土地の交換があります。

土地を分割した場合でも交換した場合でも、所得税法では譲渡があったものとして課税対象になります。

ただし、「共有地の分割」については、その持分に応じた分割であれば譲渡がなかったものとされ、また「土地の交換」については、要件をすべて満たす交換であれば譲渡がなかったものとする特例が設けられています。これらを利用することで節税にもつながりますので、状況に応じてきちんと検討しておくことが必要です。

 

○共有地の分割(所得税法基本通達33-1の6)

共有地の分割は、その持分に応じた現物分割であれば、譲渡がなかったものとして扱われます。よって、分割に際しては、持分に応じた分割になるか否かを検討することが必要です。つまり、共有持分の比と分割後のそれぞれの土地の価額比がおおむね等しい分割でないと、贈与税が課される可能性があります。

 

○固定資産の交換の特例(所得税法58条、所得税法基本通達58-6)

固定資産の交換の特例は、6つの要件を満たした土地や建物などの固定資産を交換したときには、譲渡がなかったものとする特例です。ただし、要件を満たした交換をした場合でも、交換に伴って金銭等を受け取った場合は、その交換差金(土地の価額差を埋めるための金銭等)が所得税の課税対象になります。

 

【比較検討】

もし、共有地の分割と固定資産の交換の特例のいずれも検討できる状況であれば、下記理由から「共有地の分割」の方が有利になると考えられます。

 

①           登録免許税が低い税率(0.4%)で計算される。

②           不動産取得税が課されない。

③           固定資産の交換の特例のような厳しい要件がないので、制約を受けない。

④           確定申告が不要。